激しい潮に育まれた歯ごたえと濃い旨味

兵庫県明石市は、瀬戸内海と淡路島を隔てる明石海峡に面し、古くからタコ漁が盛んな土地です。明石海峡は日本でも屈指の速い潮流が流れ、流れの複雑さと豊富な餌環境が、明石ダコの独特の身質を育てます。

明石のタコは、漁師がタコ壺や一本釣りなどで一杯ずつ丁寧に漁獲します。潮流の速い海域で育ったタコは身が締まり、足が太く短くなるのが特徴。漁獲後は鮮度を保つため、速やかに港へ上げられ、活けや丁寧な処理によって品質が守られます。地元では茹でる際も“茹で過ぎ厳禁”と言われるほど、素材本来の食感を尊重しています。

潮にもまれて鍛えられた身は、力強い弾力の中にしっとりした質感があり、噛むほどに濃厚な甘みと旨味が広がります。明石海峡に多いカニやエビなどの甲殻類を食べて育つため、味わいに深みと香りが出やすいのも魅力です。

瀬戸内他地域のタコや北海道産のタコと比べると、明石ダコは筋肉質で歯ごたえが強く、旨味の密度が高いのが特徴。潮流と漁師の技によって育まれた、明石ならではの力強い味わいが楽しめます。